カンバーランド長老キリスト教会日本中会

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中会決議「平和を実現するために-天皇を中心とした戦争のできる国家体制に反対する-」

中会決議

平和を実現するために
-天皇を中心とした戦争のできる国家体制に反対する-

1999年11月23日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会

「平和を実現する人々は幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ 5:9)

私たちカンバーランド長老キリスト教会日本中会は、創設のときから、私たちの国が過去に犯してきた罪を悔い改めて、日本国憲法を遵守し、基本的人権を尊重し、平和を愛する歩みをすることを願ってきました。私たちは、平和を実現するために、1974年には靖国神社法案に反対する声明を、1989年の天皇裕仁氏死去の際には天皇の神格化に反対する声明を、1991年には「中東の湾岸戦争に反対する声明」を公にしました。1995年には、「戦後50年にあたって.過去の罪責の悔い改めと将来への決意.」を中会決議として採択しました。私たちは、十分とはいえないまでも「平和を実現する」ことを目指してまいりました。ところが、今年、相次いで成立した法律は、私たちの願いを踏みにじって、アジア・太平洋戦争当時のような、天皇を中心とした国家主義体制をつくり、戦争大国に逆戻りする内容を持つものでした。

1. 「新ガイドライン」関連法 – 周辺事態法、改正自衛隊法、改定日米物品役務相互提供協定

これらの法律は、日本周辺での「有事」の際に、米軍の後方支援に自衛隊を派遣し、自治体、民間人を動員することを目的にしています。北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビアへの空爆を見て分かるように、いったん戦争になれば、前方、後方の区別はなくなり、国中を戦争に巻き込むことになります。このようにこれらの法律は「戦争のできる国家体制」をつくろうとするものです。このようなことは聖書の教えはもちろん、日本国憲法の前文、第九条に明記されている平和主義にも反しています。私たちは、このような法律が成立したことに強く抗議し、米軍の後方支援に協力することに反対します。

2. 通信傍受法案

この法律は、組織犯罪の捜査を名目に、警察に通信を傍受することを認めた法律です。これは、憲法二十一条で保障されている「通信の自由」を侵害するものです。さらに、この法律によって、アジア・太平洋戦争当時のような、反体制組織や宗教団体を警察が監視する体制になり、この国に住む人の基本的人権が抑圧される可能性があります。私たちはこの法律が執行されることに反対します。

3. 住民基本台帳法改正

この「改正」は、住民基本台帳を基礎に全国民に十桁の統一番号を付し、これを全国ネットワークのコンピュ.タ.で管理し、この統一番号を各省庁共通の個人識別番号として使用し、様々な行政分野において利用して、効率の良い行政サービスを受けられることを目的としたものであると、自治省は説明しています。しかし、この「改正」は国民総背番号制につながるものであり、憲法十三条で保障された国民のプライバシー権を侵害する可能性をもつものです。さらに、これは、国家による国民の個人情報の集中管理であり、管理社会、監視国家を招来する危険があります。さらに、将来の徴兵制につながる懸念があります。私たちは、このような法律の「改正」が行なわれたことに強く抗議します。

4. 「君が代・日の丸」の法制化

「君が代」は、天皇を日本の統治者として賛美する内容の歌詞であり、唯一の神を信じ、神のみを賛美する私たちの信仰に反しています。「日の丸」は、侵略戦争のシンボルとして用いられてきた歴史があります。このような、「君が代・日の丸」を国歌・国旗として法制化したことは、「天皇を中心とした戦争のできる国家体制」をつくり出すことになり、日本国憲法の主権在民、平和主義に反しています。さらに、それを強制することは、心の自由を圧迫しますから、憲法十九条で保障されている「思想・良心の自由」という基本的人権の侵害につながります。このようなことから、私たちは、「君が代・日の丸」の強制に強く反対します。

このように、一連の法律は、「天皇を中心とした戦争のできる国家体制」を目指すものです。さらに、日本政府は、この政治体制を確立するために靖国神社国営化、「有事立法」の成立、日本国憲法の改悪まで企てています。私たちは、1938年に国家総動員法が通り、一回に 70数件の法を通すようになり、最後には宗教団体法により教会が侵略戦争に協力せざるを得なくなった歴史を忘れるわけにはいきません。

このような状況において、私たちは、過去に日本の教会が犯してきた過ちを繰り返すことなく、「平和を実現するために」、今、神が創造の業において、人々のために意図した基本的な人間の尊厳を否定する政治的、経済的、文化的、人種的抑圧状況に反対し、抵抗し、変革を求めていきます(『信仰告白』6.30)。さらに、すべての不当な法律や不正な事柄に対して、反対するだけではなく、善をもって悪に打ち勝つキリストの道を具現する態度や行動を積極的に支援していきます(『信仰告白』6.31)。私たちは、祈りによって、実際の行動によって、「平和を実現するために」立ちあがります。

平和の神が私たちの決意を祝福してくださいますよう祈ります。

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