特定秘密保護法案成立に強く抗議し廃止を求めます
内閣総理大臣安倍晋三殿
2014年2月19日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
議長 荒瀬牧彦
神学・社会委員会委員長瀬底正博
特定秘密保護法成立に強く抗議し、廃止を求めます
カンバーランド長老キリスト教会日本中会は、政府が数の力で強引に特定秘密保護法案を採決し、成立させたことに強く抗議し、この法律の廃止を求めます。
特定秘密保護法は、秘密保護と情報統制を国民に要求し、従わなければ厳罰をもって対処するという、国家が国民を統制し、民主主義を否定する法律です。国民の知る権利を著しく侵害し、憲法13条、また21条に違反する違憲立法であると考えます。取材・報道の自由、表現・出版の自由、学問の自由など基本的人権の「拘束」につながるものです。
共同通信社が実施した世論調査によると、特定秘密保護法に「不安を感じる」という回答は70.8%にのぼり、また国内の様々な団体、国際機関、学者、文化人などが反対の声を挙げています。
特定秘密保護法は、何が秘密かを為政者が判断し、その内容は国民に知らされないため、何が罪に問われるかわからないまま、厳罰に処する法律です。これは、刑罰を科すには、何が罪なのか事前に明確にわかり、どういうことをしたら罪に問われるのか明らかになっていなければならないとする憲法・刑法の大原則に反しています。
そもそも、民主主義国家においては、国家が持つ公の情報は国民のものです。しかし、特定秘密保護法のもとでは、政府が保有する情報を国民から隠し、国民の「知る権利」を奪ってしまいます。しかも解釈次第では、「特定秘密」の対象は無限であり、広く国民に刑罰を科すことができる道を開きます。このような法律を絶対に容認することはできません。
一方、「特定秘密」を扱う公務員らに対して「適正評価」という厳しい身元調査も定められ、調査対象は家族らにまで及び、プライバシーの侵害が強く懸念されます。調査項目も拡張解釈が可能で、思想・信条の統制につながる恐れがあります。このような行為は監視社会につながります。
私たちは、限りなく拡張解釈が可能な特定秘密保護法に対して、大きな不安を抱いています。国民主権を突き崩した上で、国家体制を築こうとするこの法律は、やがて戦争への道を開くものであると大きな危惧を抱きます。国家に関する事柄をすべてタブーとしていけば、国民は情報の閉ざされた中で判断基準を奪われ、国家のすることに反対の声を上げる機会を奪われます。そのようにして、過去の悲惨な戦争を招いたことを忘れてはならないと思います。
国民主権を否定し、暗く恐ろしい社会を再び到来させないために、私たちは特定秘密保護法に対してこれからも反対の声を挙げ、民主国家として当然の権利を取り戻すために、活動を続けていく所存です。廃止を強く求め、再考をのぞみます。